H26・PM・午後1試験ストーリー 問2・本論2
☆はじめに
本文は、プロジェクトマネージャ午後1試験の過去問を基に
ストーリーっぽくしてみたので、内容は多少脚色しています(笑)。
なるべく問題に影響のない範囲で楽しく記録できればと思います。
また問題文だけでなく解答の内容もストーリーに含まれています。
どの部分とかは特に明記しないので実際の回答を見て頂ければと思います(笑)。
このストーリから午後1試験問題の内容が理解でき、問題の意図やモジュールとしてのパーツなどとしても午後2で活用できたら凄いかもです(苦笑)。
凄いかどうか不明ですが(苦笑)別ブログで試みてますので、
よろしければ(笑)
Sponsored Link
■プロジェクト進捗管理ストーリー
本論2:進捗管理表の様式
<前回の続き>
E社に着いた僕は、早速F課長を受付で取り次いでもらった。
ソファに座って待っていると、紺色のフレームの眼鏡をかけた少し細身のF課長がエレベータから現れ、こちらに目を向けると、少し無表情(に見えただけかもしれないが)で小走りに向かってきた。
F課長:『Q課長ですか?どうも初めまして、Fといいます。』
うわぁ、真面目な感じだな。これは冗談とか言わない方がよさそうかな(苦笑)
僕:『どうも。Qといいます。本日はお忙しいところ、すみませんでした。』
と、ここで、お決まりの名刺交換(笑)
F課長:『仔細は部長のAから伺っております。え~っと、Q課長は私の現在行っているプロジェクトのアドバイザという事でしたが、何なりとお尋ねください』
A部長、僕のこと、何と言って紹介したんだろう?不安だなぁ・・・
にしても、確かにどっからでも来なさい的な自信が伝わってくるなぁ(苦笑)
と思いながら、取り急ぎまずは率直にプロジェクトの現状を聞くことにした。
僕:『アドバイザという立場ではありますが、アドバイスというか、まずは色々と現在のプロジェクトマネジメント方針について教えて頂ければと。』
F課長:『はい、どういった事でしょうか?』
僕:『それでは早速ですが、現在のプロジェクトは基幹システムの追加開発プロジェクトという事で伺っていますが、今はどの工程ですか?』
F部長:『はい、工程はもうすぐ外部設計の中盤に差し掛かります。』
僕:『そうですか。設計という事ですが進捗管理はどのようにされてますか?』
F課長『え~と、こういうの作ってます。どうぞご覧ください。』
そういって、A3縦型の進捗管理表の紙を、自信満々で僕に見せた。
<実際の進捗管理表の内容は問題に記載されていますが、すいません、ココでは割愛します>
僕:『え、と、ここに書かれたアクティビティの所要日数なんですが、』
F課長:『あ、はい、アクティビティの所要日数は、開始予定日から終了予定日までの営業日の作業日数を集計したものです。』
僕:『なるほど。では、ここの進捗率というのはどういう、、、』
F課長:『アクティビティの進捗率ですか?え~それは、まず進捗の種類として、単純に成果物作成の予定に対する実績の割合と、レビュー時の指摘ヶ所の修正対応状況から算出した割合の2種類あります。』
僕:『なるほど、2種類の進捗割合を合算したものがこの進捗率という事ですね』
F課長:『はい。それで、成果物作成の未完成割合を全体の70%で、指摘箇所修正割合を残り30%にしていますが、まぁ予定変更の際は適宜見直すようにしています。』
僕:『7:3ですか。それはなぜですか?』
というと、F課長は少し声を大き目にして
F課長『特に根拠と言われると、今までの実績でそうなりました。』
と、自信満々に答えた。
僕:『あぁ、そ、そうですか(苦笑)。では、このイナズマ線の所をお願いします。』
F課長:『あ、はい。まず図中の矢印で示されている部分は進捗率に従って表示しています。例えば、最初のアクティビティNo3-1-1のA機能の外部設計の進捗状況はどうなっているかを見る場合、本日4/5として、予定では、まだ4/4時点での実績しかないのでパッと見でこの工程は1日遅れているなと判断できますが、更に見やすいよう、この場合は評価対象日である4/5から4/4への遅れや、当然進みもあれば同様に折れ線で表示させて、イナズマ線にしています。』
僕は、ちょっと思う事があったので聞いてみた。
僕:『なるほど。でもこのやり方だと、子アクティビティを持たない、成果物を作成する親アクティビティのみについては、単純に工数を所要日数で均等割合して計画工数を算出しているように思えるのですが、計画については、アクティビティの成果が、日ごとに一定に増加するという前提条件に基づいて、実績線・イナズマ線が示されているのかなと想定するのですが?』
F課長:『はい、その通りです。』
僕:『そうだとしたら、それは作業の難易度を考慮しないで単純に平均値を見積もってるだけと思うのですが、その特性に対しては理解されてますか?』
そういうと、F課長は、当然という顔で頷きながら、
F課長:『もちろん、了解していますよ。ご指摘の通り、5日間の所要日数で見積もった親アクティビティは、子が無いのでその難易度の振り分けは均等に20%としているのですが、もし作業工程上で前半が困難で工数を要すると思われる作業があり、後半はそれほどでもない作業があれば、当然、前半に遅れる確率は増えるでしょうし、逆に後半は前倒し気味の進捗状況になると思っています。』
といいながら、F課長は僕の顔を見て、続けた。
F課長:『でも総合的に言えば、最終的な帳尻が合えば良いのかなというのと、実際に今までこのやり方でさほど問題なかったので、うちの課はこれがテンプレートになっています。』
と、自信満々に付け加えた。
僕:『そ、そうですか。特性を理解されて進捗評価されてるのでしたら結構です』
と、これ以上は突っ込むのをやめて(笑)先に続けた。
僕:『では次に、レビューの進捗率についてですが、どのように?』
F課長:『はい、これはいたって単純で、実施前は0%で、この割合は、たとえ仕掛中で途中状況でも終わるまで同じで、実施完了で初めて100%にしています。』
僕:『なるほど。え~、では、先ほどは、子がない親アクティビティのみの計算は均等計算との事でしたが、今度は子アクティビティのある、親アクティビティの進捗率の計算方法については、どういう方法で・・・』
F課長:『はい!先ほどとは違って、当然、分割された子アクティビティ分の進捗率から総計して算出します。』
と、相変わらず、自信満々に答えた。
僕:『確かにそうですね。ところで、子アクティビティの総計とは、どういう風に算出するのでしょうか?』
F課長:『はい、親アクティビティの進捗率は、子アクティビティの所用日数×子アクティビティの進捗率を、それぞれの分割分の子アクティビティの数だけ合計した値を算出して、所要日数分の合計で割って算出しています。』
とF課長は慣れた口調で答えた。
僕はこれを聞いて、子の持つ親アクティビティの算出がそれでは正しくないと思ったが、それをいきなり言うよりもF課長に身をもって知って頂くため、敢えて実際に確認してもらう事にした。
僕:『なるほど、そうですか。それでは、F課長、この表の3-1-1であるA機能 外部設計を親とした子アクティビティとなる、3-1-1-1~3-1-1-5から、親アクティビティを実際に算出して頂けないでしょうか?』
F課長は、少し考えていたようだが、僕の言う通り、進捗率の計算を行った。
一応、必要な値として以下に記述しますが、詳細は実際の問題を見てくださいね
以下は、アクティビティNo、計画工数、所要日数、進捗率 の順となります。
3-1-1(親)、30.6、10、38.6
①3-1-1-1(子)、5、5、60.0
②3-1-1-2(子)、5、5、0.0
③3-1-1-3(子)、20、10、45.0
④3-1-1-4(子)、0.3、1、100.0
⑤3-1-1-5(子)、0.3、1、0.0
F課長:『まず、子アクティビティ(以下子供)の1番目の3-1-1-1の進捗率は、所要日数5日で進捗率60%なので、これらをかけると、300で・・・(以下算出)
①5*60=300
②5*0=0
③10*45=450
④1*100=100
⑤1*0=0
所用日数の合計=5+5+10+1+1=22
よって、親アクティビティの進捗率=(①+②+③+④+⑤)/22=850/22
答え:38.63% ですが、これは3-1-1で記述している値となります。』
とF課長は、どうしてこんな計算をさせてるのか?といった顔で僕を見た。
僕:『どうもありがとうございます。ただ、F課長、この値は確かに御社での算出方法のようですが、弊社での算出方法、というか実際の算出方法をご説明いたします。』
F課長:『え?実際・・・・ですか?おっしゃられてる意味がよく分からないのですが・・・』
そういって、怪訝な感じで僕の顔を少し真剣な顔で見た。
(そりゃそうだよなぁ、自分の意見を真正面から否定されたら誰でもこうなるわな。
でも、ここが正念場だぞ。)
僕:『まぁそうかもしれませんね。すみません、それではご説明します』
F課長:『お願いします。』
僕:『まず、F課長から見せて頂いた進捗管理表を見て疑問に思ったのは、子アクティビティの進捗率がどうして所要日数で算出されてるか?です。』
F課長:『え?違うんですか?』
僕:『はい、そもそも子の進捗率は、計画工数から算出した値ではないでしょうか?なのに、計画工数は全く使わずに所用日数を使ってるのはおかしいと思います。』
F課長:『あ、そうか、あぁあああ、確かにぃ!』
と、F課長が少し大声で唸ったので周りの人が少しこっちを見た。
僕:『え~と、つ、つまり、所用日数ではなく計画工数を用いるべきなんです。』
F課長:『なるほど、でもそんなに違うのでしょうか?今までの経験上・・・』
僕:『で、では実際に算出してみませんか?』
と敢えてF課長の実績主義の主張を遮って提案をしてみた。
F課長:『・・・え?、そ、そうですね、ではやってみます。
先ほどの所用日数の値を全て計画工数に変えてみればいいので、・・・っと
(以下算出)
①5*60=300
②5*0=0
③20*45=900
④0.3*100=30
⑤0.3*0=0
計画日数の合計=5+5+20+0.3+0.3=30.6
よって、親アクティビティの進捗率=(①+②+③+④+⑤)/30.6=1230/30.6
答え:40.20% で、これは、前の38.63%なので異なりますねぇ。う~ん・・・』
と、F課長は少し落胆した顔になったが、すぐにこっちを見て
F課長:『進捗率の誤差は、1.6% といえど、やはり誤りは正さなければいけませんね。早速この管理表を修正し、関係者全員にも周知するようにします。どうもありがとうございました。』
と、意外にもストレートに受け入れたので、ほっとした。
僕:『いえいえ。今までこれでやって来たという事でしたが、大事にならずに良かったですね』
F課長は、2度大きく頷きながら、
F課長:『いやぁまったく、本当にそうですね。いやぁお恥ずかしい。実はこの進捗管理表は私が作成したものでないのですよ。私は途中入社でして、前任者からこの進捗管理表を受け継いだ。というのはもちろんいいわけですが、実際、この進捗管理表の中身は全く疑う事を考えなかったのは事実です。』
僕:『そうだったんですね。じゃあ良かったですね。』
F課長:『はい、お陰様で。』
そういうと、今の一件で、F課長の僕を見る目が少し優しくなった気がした。
F課長:『あのぉ、Q課長、せっかくですから、他にも色々と確認して頂けませんでしょうか?』
そう聞いて、僕は、よし、これでF課長は少しずつでもうちの方針に耳を傾けて、合わせるようになって行けそうかもしれないぞ。と少し確信した。
さぁこれからが本格的ヒアリングかも・・・
僕:『そうですか。それではやはり、今後のアクティビティとアクティビティに対する担当者、つまりリソース割り当て状況について教えて欲しいです。』
F課長は、よくぞ聞いてくれたとばかりに身を乗り出して、僕を見た。
<次回、アクティビティに対するリソース割り当てに続く。>
Sponsored Link